先週は、現代社会を軽やかに生き抜くための重要スキルの一つ、「モバイル思考」についてお伝えした。
いよいよ今回は実践編。その具体的なメソッドを解説していく。
社会には、「機能不全を起こした常識」や「形骸化した制約」や「前時代的なルール」が無数に存在する。
その状況から自分を解き放つ最初の一歩は、「場所の制約」から自身を解放すること。
人生において、あなたを最も縛りつけているのは「場所」だということをまず自覚することから、すべては始まると知っておいてほしい。
コロナ禍前からずっと、この一文を当メソッドの冒頭で書いてきたが、いよいよ住居地の縛りを解く行為は難題ではなくなった。
この大きな一歩踏み出せば、行動力が驚くほど向上し、その結果、思考が柔軟になって行動範囲も広がる。21世紀において求められるのは、偏差値の高さや従順さではなく、フレキシブルな思考・行動だ。
子どもの頃は誰もが持っていた「固定観念に縛られない自由な発想と行動力」を取り戻すことができれば、停滞していた五感がよみがえり、感性を刺激されてインスピレーションが次々とわくようになる。
結果、創造的なひらめきや革新的なアイデアを手にすることができるようになるのだ。
では、さっそく「モバイル能力(=自身を自在に移動させる力)」を引き上げるポイントについて解説していこう。
【モバイル能力を究めるために必要な3つのこと】
1.「モバイル・スピリット」を高める
「モバイル・スピリット」とは〝何にも依存せず生きようとする、解き放たれた精神〟のこと。
公務員、会社員、主婦、学生バイトやインターン…、立場は関係ない。
モバイル・スピリットは、取り組み方と姿勢で高めることができる。
つまり、あなたの思考や精神性(=心構え)次第ということだ。
雇う側でも、雇われている側でもこのモバイル・スピリットがないと、決して自由にはなれない。
「立場」は、なかなかコントロールできない。
しかし、「心構え」は自分でコントロール可能だ。
会社員や公務員でも、組織への「依存思考・体質」を捨て、フリーランスで仕事をするような覚悟を持って日々働く。
モバイル・スピリットは、「個人で生きるために必要な最低限のスキル」とも言え、誰も身につけることができる。
個人事業主や会社経営者にとっても、当然必須。
例えば、「雇われの身」ではなく自分の裁量で自由に仕事ができたとしても、1つの大きなクライアント頼みの業態だと独立したワークスタイルを維持することは難しいだろう。
「依存」と「貢献」は似て非なるもの。
どこに属し、どんな状況にいようが、常に「精神的に独立している状態」で働くこと、暮らすことを意識してほしい。
組織や制度に依存するのではなく、貢献する。その思考と姿勢こそが、あなたの仕事のクオリティと生産性を高め、周囲の信頼、信用を得ることにつながるのだ。
「圧倒的に仕事ができる人」や「誰からも信用される人」は、所属組織やクライアントに依存して上に媚(こ)びる人のではなく、高いモバイル・スピリットを持って周りに貢献しながら生きている人たち。
何かに(誰かに)完全依存しないと生きられない人は、どんなに頭がよくて、外見が華やかで、お金を持っていたとしても、決して真の自由は手にできない。
当然、「自分の理想の人生をデザインする」こともできない。
ちなみに、病気やケガ、親族の看護などで、「今は物理的な移動ができない」としても、自身を解放する「内的な目覚め」であるモバイルスピリットは誰でも手にできるはず。
逆の言い方をすると、物理的な移動が可能な環境だとしても、モバイルスピリットがない人は、絶対に自由な人生を謳歌(おうか)できない。
(残念ながら後者のタイプをぼくは多く見かける😭「自分は不自由だ」と嘆く人の9割が後者だ。)
Photo by Hiroyuki UASAMI(標高2000mの岐阜の高地から、3000m級の山々を越え、海抜0mの新潟の海まで踏破する、2週間の北アルプス完全縦断を終えた翌日、新潟の親不知駅にて)
2. 「モバイル・リテラシー」を高める
「モバイル・リテラシー」とは、デジタルデバイスやインターネット技術といった「モバイルテクノロジー」を自由自在に使いこなす能力のこと。
仕事で高いパフォーマンスを発揮するため、もしくは場所の制約を受けないワークスタイルや、場所に縛られないスタディ・スタイルを実践するためには、モバイルテクノロジーを使いこなすことは不可欠。
コロナ禍を受けて多くの人がモバイルシフトするようになり、モバイルテクノロジーは今や「英語力」以上に人を自由にすると断言できる時代にいよいよ突入したのだ。