今月のテーマ〈チーム・デザイン〉も最終週。
今回は、忘ては行けない絶対ルールを改めてお伝えするところから始めたい。
それは、メンバーや目的が違うどんな部活や職場や団体でも、チーム運営における「大切なこと」はまったく同じということ。
たとえば、レコード会社時代のアーティストプロデュースチームと、フリーランスのぼくを10年近く支えてくれたクリエイティブ集団〈T4〉は、その業務内容や状況はかなり違う。
しかし、チームデザインの要となるポイントはまったく同じだった。
人生では、「衣食住」と同じか、それ以上に大切な存在がいる。
ぼくはそれを「愛にあふれた——パートナー・家族・仲間・ご近所さん」だといつも思っている。
社会的な生き物である「人間」は、生まれつき「人と関わっていかないと生きていけない」という性質がプログラムされている。
しかし、そうは言っても「人と関わること」は、面倒で複雑。
ぼくは、人間嫌いだった時期に人付き合いの「面倒さ」から逃げるために、ひとりで自然の中に身を置くことを選んでいた。
しかし、これは人間にとって重要な「人との関わりを求める」という性質に反した行動になる。結果、毎日をつらい日々にしてしまっていた。
つらさを感じてしまうのは、なぜか。
それは、人間は、他人との関係性の中にこそ「真の幸せ」を感じるものだから。
「人間否定&自然崇拝」から「人間も自然も大好き☺️」となった今だからこそ、こう言える。
人との間に生まれる「愛」こそが、人を幸せする。
(だからきっと、人のことを「人間」と書くのかもしれない)
どんなに大金を得ても、社会的な大成功を手にしても、もっとも身近な居場所と呼べる「パートナー・家族・仲間・ご近所さん」に「愛」が存在しなければ、人は絶対に幸せにはなれない。
「真の幸せ」は、「日々の小さな喜び」を分かち合える人がそばにいることで初めて手にできるもの。
(誰かの名言「幸せは質じゃなく量」とは、1つの大きな幸せ(=質)より、小さな幸せがたくさんある方(=量)が幸せという意味だし、「そこそこの幸せは買えるけど、小さな幸せは買えない」というのも同じ意味を指している)
〈チーム・デザイン〉に重きを置く思考は、単に仕事やプロジェクトにおけるユニットを創ることだけではなく、身近な人との関係性を〝チーム〟にしていく考え方、流儀でもある。
今週は、「より身近な存在との関係性において、どうチーム・デザイン思考を取り入れるか」。
その大事な視点をお伝えする。
【チーム・デザイン思考を、身近な関係に活かす5つの視点】
1. 〝リアル〟プロデューサーを身近に置く
ぼくは、大学生向けの講義やトークライブで「人生における、あなたの〝リアル・プロデューサー〟を探してください」と、必ず伝えていた。
Camperならもうおわかりだろう。
〝リアル・プロデューサー〟とは、あなたを常に気に掛け、客観的に見てくれる人。
強みを引き出し、心から応援してくれる存在のこと。
これもおそらく繰り返しになるが——見つけるポイントは、シンプルに2つ。
① あなたのことを愛している
② あなたのことを認め、理解しようと努力している
「愛」と「理解」は似ているようで、実は違う。
両方がそろってはじめて、リアル・プロデューサーと呼べる。
誰もが言われたことがある、愛と理解が揃っていない有名な言葉がある。
「お前のことを思って言ってるんだぞ!」
このアドバイスには、①の「愛」はあるかもしれない。
しかし、②の「理解」がないということがはっきり感じ取れるだろう。
①②のどちらかが欠けた状態で多くを助言する行為は、「オーバー・プロデュース」(=理解や愛の欠如に気づかずプロデュースしすぎてしまい、間違った方向へ強引に導くこと)。
ぼくが音楽アーティストのプロデュースをしていた時に、もっとも気をつけていたのがこの行為。
これは「プロデューサー → アーティスト」に限らず、「親→子ども」「年配者→若者」「先生→生徒」「先輩→後輩」と、あらゆる関係においても絶対にやってはいけないものだと考えている。
そして、もしあなたが「自分はオーバー・プロデュースを受けてるかも」と感じた時は、その助言やサポートは完全に無視しよう。