先週は、現代の社会システムがはらむ様々な問題と、その危険性を見てきた。
普段の生活で何気なく受け入れている「都市型*の行き過ぎた消費生活」の危うさを少しは実感してもらえたことだろう。
(*都市型と簡略化して書いているが、どこに暮らしていようが大量消費に躍らされて生活している限り「都市型生活」となる)
ここでは、そんな破壊的な(自分自身と家族、社会と地球までも破壊する)暮らし方から脱するための〈ライフスタイルシフト〉を提案したい。
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【今週の先出しハイライト】
・GM異常F1種、知らないうちのリスク摂取、巨大企業による種子支配を、食の選択で変えよう
・地震大国日本のエネルギー、原発事故と未来のツケ、利権企業支配を見据え転換を進めよう
・地球にわずか0.01%の淡水、命の源である水道インフラの企業支配を、市民として監視し続けよう
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◎人生の可能性と幸福度を最大化する生き方にシフトする
あなた自身のために「自分の心と体」「家族・仲間・コミュニティ」を徹底的に大事にする。
大切な「自分・家族・仲間・コミュニティ」のために「社会と自然環境」を健全化すべく努める。
破壊的かつノイジーで、誰もが自分を見失いがちになる大量消費生活——いや「過剰消費生活」と言った方がいいだろう——から、少しでも距離を置いてはじめて「自分らしい生き方」が可能になると、ぼくは考えている。
いきなり「ものすごい田舎に移住せよ!」と短絡的に言ってるのではなく、「たとえ住む場所が都市部だとしても、低消費で循環型の暮らしを心がけることはできる(今や選択肢はかなり増えた!→『超ミニマル・ライフ 』STEP4「食事の軽量化」参照)」ということ。
東京都心なら、週末に青山ファーマーズマーケットで野菜を買えるし、首都圏でも少し郊外に住むだけでその周辺の野菜が手に入る。通販で生産者さんから直接、野菜や安全な魚を買うのもいいだろう。
今や電力を100%再エネに切り替えることも可能。
掃除用洗剤は買わずに、安くて環境負荷が低い普通の重曹(ベイキングソーダ)で代用できる。
上に挙げたのは一例で、他にもやれることはたくさんある。
「なるべくモノを買わず、既製品以外で代用できないか、昔ながらの方法で代替できないか、自作できないかを考えること」がとにかく大切だ。
そうやって少しずつ過剰な商品依存から脱却できれば、まずはOK。
すぐに「引っ越す」のではなく、そうやって「都市型の大量消費生活」を改めることこそ《Independent Design》の第一歩だ。今週は、先週もチラッと触れた、現代の社会システムにおける〝不自然なジョーシキ〟の裏側にある世界について、さらに詳しくみていこう。
「敵を知り、己を知れば百戦あやうからず(敵とあなた自身をしっかり理解していれば、決して負けることはない)」
というのは孫子の言葉。
(少し大げさに言えば)社会に隠された〝不都合な真実〟こそが、ぼくら「市民の敵」。
その存在を知ることが、あなたにとっての「Independentな生き方」へのヒントになるはずだ。
【身の回りに潜む不都合な真実】
生きるうえで絶対に必要だとされる、「食料」「エネルギー」「水」。
その裏側には、不都合な真実が隠されている。
以下を読んであなたがどう感じるか、ぜひ感想を聞かせてほしい。
① 食料の不都合な真実
日本が世界で最も「遺伝子組み換え(以下GM)作物」の認可数が多い国で、その全てが輸入作物(※1)ということはご存じだろうか。
多くの人がその危険性を懸念しているGM作物は、輸入に規制があり、表記義務もあるが抜け穴だらけというのが実情。
そのほとんどが「表示義務のない加工品」「家畜の飼料」として使われているから、我々が知る手立てはない。日本の食料自給率が低いことを考えると憂慮すべき事態である。
そして、ほぼ全ての「家畜飼料」にGM作物が使われているという。GM作物が使われている「表示義務のない加工品」の一部をリストアップしてみよう。
食用油 、ケチャップ 、醬油 、マヨネーズ、アイスクリーム 、清涼飲料水 、スイーツ……!
これらは、一般的なスーパーやコンビニなどに流通するものの大半が該当すると思ってもらっていい。ぼくたちは知らないうちにリスクのある飲食物を日常的に摂取しているのだ。
では、GM作物とはどういうものなのか。
今や多様なものが存在するが、その代表例は「除草剤に耐性」がある遺伝子と、「害虫に毒性がある」遺伝子が組み込まれた作物。
「除草剤で枯れず、虫を寄せ付けない作物」を、食べたいと思う人は少ないだろう。
かつて遺伝子組み換え問題でよく話題にあげられる企業があった。
その名も『モンサント(MONSANTO)』。
世界中で農薬を売っている巨大グローバル企業だったが、2018年にドイツの化学・製薬カンパニーでさらに巨大なグローバル企業「バイエル社(Bayer AG)」により買収された。
この買収劇の背景には、拡大していたモンサント社への世界的な非難を懸念しての「リネーミング行為(=名前の差し替え)」があり、現在はモンサントの企業名は消滅している。
(欧州では当時、この買収劇を危険視する意見が多数あった)
旧モンサントの主な商材は、農薬のほか、GM作物、そして種子。
遺伝子組み換え問題がよく話題になるが、実はこの会社がメインで行っているのは種子のコントロール。
モンサントは、最先端のバイオテクノロジーを用いて、農業界にさまざまなイノベーションを起こしてきた。その中には、人類に貢献した素晴らしいものも多数あるが、ここでは代表的な悪例2つについてお伝えしたい。
1つ目は、自社の除草剤「ラウンドアップ(Roundup)」で枯れないように遺伝子操作した大豆やトウモロコシといった作物の発明。
これにより、農家さんは作物への影響を気にせずに除草剤(ラウンドアップ)を大量散布できるようになり、効率のいい雑草除去が可能になった。
2つ目は、染色体異常の種を利用して同サイズ&同形の作物の大量生産を可能にした「モンサント式F1ハイブリッド種」の開発。
このおかげで〝市場ウケ・消費者ウケ〟のいい同規格の野菜を、農家さんが効率よく作れるようになった。
これらの技術によって、食料問題が解決したり、農家さんの手間が省けたりという「いい点」も多数あるということを、まずはお伝えしておきたい。
しかし、ある時期から「公益(社会貢献)」よりも「利益」を追求するがあまり、その技術の使い方に倫理感が欠落していくことに。結果、環境や人体への悪影響が拡大し、問題視されるようになってしまった。
危険な添加物の筆頭である人工甘味料「サッカリン」の発明や、ベトナム戦争での非人道的な兵器「枯れ葉剤」の原料として使用されたのも同社製の除草剤だった。
(先日、ピースボートで初めてベトナムを訪れた日が、ちょうどベトナム戦争の終戦記念50周年の日だったが、未だその被害に苦しむ人たちがいることを知り、改めて強い憤りと悲しみを感じた。戦争は、絶対にいやだ!)
「なにごとも過剰や行き過ぎはダメ」「人としての一線を超えてはダメ」というのがぼくの持論。
GM作物のリスクが大きな問題となっているだけでなく、モンサントが流通させているこの「F1種」にも問題がある。
この種の多くが染色体異常を起こしているため、雄しべを持たない。
作物によっては種を作らなかったり、かろうじて種子を残してくれる作物もその種からはちゃんと育たなかったり、商品化できないくらい不ぞろいにしか実らない。
つまり、農家さんはモンサント社から毎年、農薬や種子を買い続けなければならないということ。