5月。日本が一年でもっとも気持ちいい季節。朝の光を浴びながら東京のオフィスでこの原稿を書いている。(2016.5月号『Mac Fan』掲載記事)

ニュージーランドの〝森の生活〟と世界各地を巡る〝移動生活〟のハイブリツドライフを送るぼくは、ほとんどの業務をインターネット経由で行うようにしている。

理由は簡単。場所の制約を受けたくないためだ。

ただ、イベント出演やトークライブは、「ぼく自身の体」が「その場」にないと成立しないからやむを得ないが、仕事上のコミュニケーションはLINEかメール、ミーティングはLINE電話やZoom、Skypeを活用するのが通常だ。

そんなぼくが今日本にいるのには、大きく2つの理由がある。

まず、この時期の日本の気候が大好きであること。

そして、ニュージーランド最大のエコブランド「ecostore日本初上陸に関するPRイベント、マーケティングチームとの顔合わせなどのため。

 
 
四角大輔|Daisuke YOSUMIさん(@4dsk)が投稿した写真 - 2016 4月 14 7:20午前 PDT 

 

 




モバイルボヘミアン的心情としては、世界各地、なるべくいい季節に訪れたい。

これは、当連載で繰り返し述べてきた我がライフテーマ「自身のクリエイティビティを最大限に引き上げるため」である。

脳も肉体も感情に支配される我々人間にとって、〝いい気分でいること〟は「創造性の向上」に直結しているのは言うまでもない。

そして今回のような、新規プロジェクトの「顔合わせ」があるタイミングや、大人数とのコミュニケーションが必要な場合。

やむなく(笑)ぼくの肉体を移動させるようにしている。結果として、そのほうが効率よく、ストレスも少ないからだ。

ライフスタイルの自由度を上げるために、「場所」だけでなく、「精神的負荷」「余計なタスク」「面倒くささ」などから自身を解放することも、ぼくは徹底的に心がけている。

4月上旬に、前述の目的のために一度来日してすぐに、ビジネス英語をアップグレードするためにフィリピンのセブ島へ移動。

海が目の前という、最高の立地を誇る英語学校『Cebu Blue Ocean Academy』の敷地内にある宿泊施設で2週間ほど過ごしたのち、先日また来日。

そのまま約20日間、ぼくは日本にいる。
この日本滞在の理由は、6本のトークライブだった。

震災被害が残る熊本に立ち上がったボランティアビレッジでの、「熊本の未来」をテーマとする、作家仲間たちとのトークセッションを皮切りに、単独、対談、鼎談などさまざまな形態で行ってきた。

2015年の欧州オーガニックジャーニーより。南仏のある小さな街のカフェで、クリエイティブチームとチャット。〈Model. Daisuke Yosumi〉

さて、前書きが長くなってしまったが、今回の連載テーマについて、ここで簡単に解説してみたい。

まず「物々交換」の意味はご存じのとおり。
では、『物技交換』とは何か。

これは「物と技術(スキル)の交換」という意味。
ちなみに、『技々交換』という「スキルとスキルの交換」というスタイルもぼくは好きだ。

仕事とは何か?という問いに対して、多くの人は「お金をもらうために働くこと」と答えるだろう。

もちろんぼく自身、抱える仕事の大半は、ぼくの「表現・アイデア・経験値・肉体的パフォーマンス・知識」などの「スキル=技」を提供する代わりに、「お金」をいただくという形態がほとんどだ。

ただ、レコード会社を辞めて以来ぼくは、お金よりも、取引先の「モノ」や「スキル」をもらうというスタイルを追求してきた。

次号よりその意味と哲学、そして方法について詳しく綴ってゆきたいと思う。

〈All of photos with no credit: Daisuke YOSUMI〉

▽シリーズ《マイ・ワークスタイル|物技交換》
マイ・ワークススタイル|物技交換(前編)
マイ・ワークススタイル|物技交換(中編)
マイ・ワークスタイル|物技交換(後編)