あなたが、最後に手ぶらで街を歩いたのはいつ?子供の頃?
ライフスタイルがテーマの、ぼくのトークライブでこの質問をすると「手ぶらだと不安だ」という反応が返ってくる。
でもそれは本当だろうか。
ニュージーランドと日本を頻繁に往来しながら、世界中で移動生活を送っていると、「持ち物はできる限り最小限に」というミニマムなスタイルに帰着する。
これは、20年以上続けて来た、登山やフライフィッシング冒険で叩き込まれた思想でもある。
荷物が軽くて小さいと「肉体的に疲れづらくて楽」という単純な理由だけでない。
持ち物がシンプルになることで「気楽になり迷いがなくなる。思考が明瞭化し、集中力も高まる」というメンタル面のメリットが実は大きいのだ。
視点を変えると、モノが多過ぎる状態では「頭の中が煩雑化して、大切なことを見失いがち」になる、と言えるだろう。
そして、モノに溢れる先進国の人たちのほとんどが、その状況に陥ってしまい、気付かぬうちに「幸福度」がどんどん下がり続け、そのまま人生を歩んでいってしまう。
そして、それに慣れてしまうと「自分自身にとって、本当に大切なことも見失ったまま生き続ける」という、哀しくもおそろしい人生となってしまうのである。
ぼくの国内移動のもっともミニマムなスタイルはズバリ、手ぶら。上の写真にあるものがすべてだ。
世界軽量の財布「バタフライウォレット(Butterfly Wallet/5g)」には、「PASMO」や「iD」といった電子マネーカードや、会社用と個人用のクレジットカードを入れている。
よって、ぼくはいつも紙幣は最小限で、重い小銭は基本もたない。あとは免許証と、名刺3〜4枚のみ。
ちなみに、ぼくはここに超薄型の防水ケース(aLOKSAK社 for iPhone 14.3×8.0cm/5g)を入れている。手ぶらで出かけていていざ雨に打たれたとき、財布を入れるためである。
当連載の第2回で紹介した、小型メッセンジャーバッグとデイパックも防水だったことを覚えているだろうか。ぼくが街でも防水にこだわっている理由は、後述したいと思う。
東京都内でのメインの移動手段である自転車の鍵と、部屋の鍵を付けた、世界最軽量の極小カラビナ(NITE IZE社 Sバイナー0サイズ/1g)には、日常でも災害時にも活躍する次の3つの、ぼくにとっての〝三種の神器〟とも呼べる、頼りになるギアたちが付いている。
超小型ライト(ABITAX社タグライト/4g)、マルチツール(Victorinox社 ブレードレス/21g)、そしてエマージェンシー笛付きペン(A&F社 ホイッスルボールペン/8g)だ。
これらは、以下の写真をご参照いただきたい。
ぼくは、国内はもちろん、世界中どこにいてもこれら三種の神器がズボンのポケットに入っている。
「災害時にも...なんて大げさな」と思われた方もいるかと思うが、地球規模の気候変動が原因の災害が、世界中で起きていることはご存じのとおり。
例えば、大地震や爆弾テロなどでガレキの下に埋もれてしまった際、笛があるだけで発見率が数十倍に高まることは有名な話。
そして、自然災害だけでなく、雨が非常に多い日本では、防水性を意識した方がいいことは言うまでもない。
こういった、自分の命や大切なモノを守ってくれるちょっとしたギアたちは、常に携帯しておかないと意味がない。
「ことが起きてから」では遅いのだ。
この話を笑う人、真剣に受け取る人、この差はその人の〝生命力〟にも直結する。ぼくはそう考えている。
さて、この中の最重要ツールは、「1台100役」と言っていいほどの働きをしてくれるiPhone(130-180g)。
2008年に日本でiPhoneが登場したことで、ぼくのこの手ぶらスタイルが可能になったと言ってもいいだろう。
さらにiPhone7ではついに、クレジットカードなどを登録しておくことで、「タッチ決済」が可能となるサービス「Apple Pay」が開始となり、Suicaや電子マネーカードが不要となった。
日々使える場所が増えていて、最近では、このApple Payをフル活用することで、財布の中がより軽量化してきている。
テクノロジーがつねに、手ぶらスタイルをより加速させてくれるのである。
環境も道具もそろっている。必要なのはあとは勇気だけ。
ぜひ一度、手ぶらで街に出かけてみて欲しい。
その身軽さと自由度の高さに、これまでの固定観念が揺さぶられ、あなたの中の「何か」が動くことだろう。
2017/02/18 21:30