先週は、我が人生のリアルストーリー「お金との歴史|前編」をひもときながら、「お金と自分の感情」について詳しくお伝えしてきた。
今回のテーマは「ミニマム・ライフコスト」。
「ミニマム・ライフコスト」とは、「自分や家族が〝健康的に〟生きるために最低限必要な生活費」のこと。
これは資本主義社会における最強のセーフティネットであり、もっとも合理的なマネー戦略。
そして、資本主義に搾取されないための「お金に依存しない生き方」の第一歩であり、「真に自由や人生」への入口となる。
断言しよう。
「生まれつきの億万長者」や「使いきれないほどの大金を稼ぎ続けること」をのぞき、「ミニマム・ライフコスト思考」を持って生きる道が、お金の呪縛から逃れるための「唯一のエスケープルート」だと。
ミニマム・ライフコストを把握して生きていると、生活への不安がなくなる。
結果、仕事でも暮らしでも挑戦できるようになり、「好きなこと・やりたいこと・得意(=あなたのアーティスト性)」に人生を賭けられるようになるのだ。
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【今週の先出しハイライト】
・「ミニマム・ライフコスト」を把握し、自分の暮らしに本当に必要なお金の全体像を知ろう
・毎月の「固定費」を洗い出し、家計の無駄を一掃することで、暮らしを身軽にしよう
・家計簿(人生のP/L表)を活用して「変動費」を見直し、お金の使い方の癖を明らかにしよう
・「収入チャンネル」を書き出し、スキルや物々交換など、お金以外の豊かさにも目を向けよう
・自分がすでに持っている「マイ資産」に目を向け、安心感と暮らしの可能性を広げていこう
・「移行期」はミニマム・ライフコスト内で生き、真に自分らしい仕事と暮らしをデザインしよう
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●引き上げた生活レベルが、あなたの自由を奪う
現代のマネーシステム(お金の仕組み)は、使えるお金が増えれば増えるほど、お金を浪費する選択肢も広がるように巧妙に設計されている。
収入が「人間としてのあなたの器=身の丈」をしっかり構築する前に——それを超えて増えてしまうと、さまざまな「浪費の誘惑」が無意識のうちにあなたを狂わせ、生活レベルを無駄に引き上げ、人生を間違った方向へ導いていく。
人というのは「一度上げてしまった生活レベル」を簡単には下げられない生きもの。
そのせいで、一時的に収入がなくなったり、減ったりするような事態になることを、なぜか「死ぬほどこわい」と思い込んでしまう(日本みたいな先進国では、死んじゃうわけじゃないのに)。
気づいたときには、巧妙に張り巡らされた「マネーシステム」にはぎ取られ、「ラットレース(資本主義による永遠の競争社会)」から抜け出せなくなっている。
この罠に嵌ってしまうと、どれだけお金があっても、心も人生も、お金から自由になることはない。決して、ない。
そうなると、人は新しい挑戦をしなくなり、どんどん身重になって固定化していく。
お金のせいで行動力と勇気を失い、身動きが取れなくなり、「停滞思考」や「メンタルブロック」という状態におちいってしまう。
結果、人との出会いや大きなチャンスといった、多くの人生にとって大切なことを失うことになり、長期的に見れば大きなお金を失うことにもつながっていく。
つまり、「人生における大損=人生を無駄に浪費すること」になるのだ。
逆に、ミニマム・ライフコストの計算をしっかりして「これさえあれば大丈夫」と安心できれば、「人生なんとでもなる」と思えるようになるからおもしろい。
まさに、ぼくの人生がそう。
●ぼくの「ミニマム・ライフコスト」ライフ
ぼくは「ミニマム・ライフコスト」ライフを20 代から今日に至るまで30年以上は実践し続けている。
NZに移住する39歳までの15年間は特に、超シビアになって「ミニマム・ライフコスト」を徹底する生活を続けた(つまり、レコード会社時代のすべて)。