誰にも教えたくない〝近くて遠い〟秘境がある。



LOVELY GREEN NEW ZEALAND 未来の国を旅するガイドブック』共著者4人によるリレー記事連載の最終回は、ぼく四角大輔が担当することになったのだが、まずは嬉しい報告からスタートさせてください(๑′ᴗ‵๑)

ガイドブックの増刷が決定しましたーー!!!!
やったーーーーー!!!



ガイドブックが多く発行されているメジャーな観光地への日本人渡航者数(ハワイ約150万人、フランス約60万人、グアム約50万人、オーストラリア約45万人など)に比べて、ニュージーランドを訪れる日本人はとても少ない(約10万人)。

ネットで旅情報を得られるようになったことで、紙のガイドブックが売れない時代になっている上に、「渡航者が少ない国の本ですから、売上はそんなに期待しないでください」と、出版社に優しく言われていたこともあり......感動だった……(涙)

さて、心を落ち着かせて......本題に戻ろう。

LOVELY GREEN NEW ZEALAND 未来の国を旅するガイドブック』のP43(下段)と、P60で〝写真2枚だけ〟でひそかに紹介している場所がある。

広告ベースとせず、個人の支援によるクラウドファンディングで制作費をまかなったので、自分たちが本当にいいと思う場所だけをセレクトできるが、書籍という形態上、当然スペースには限りがある。

ページ数の関係で泣く泣く掲載を断念した場所は多数あるが、そのなかで筆頭にあがるのが「コロマンデル半島」だ。

〈ガイドブックP60にひっそりと掲載した写真がこれ〉



ニュージーランド人にもっとも愛される場所


ぼくがこの国に移住してから10年経つが、初対面の人に会うたびに「この国で一番好きな場所はどこ?」と聞いてきた。おもしろいことにたくさんの人が「コロマンデル!」と答えたのである。
特に釣り人だちは、興奮しながらここの海のことを語り出す(笑)。

「釣り?」とバカにしてはいけない、ここで「釣り人こそが、本当に美しい場所を知っている」という一つの真理をひとつ伝授しておきたい。
なぜなら、「いい魚はきれいなところにしか生息できない」からである。

美しく大きな魚を追い求めれば、そこには必ず豊かで雄大な自然がある。必然的に、人間にとって「きれいだ」と感嘆する場所にたどり着くからだ。

そんな釣り人でもあるぼくは、人生をかけて「美しく大きな鱒」を追い求めているうちに、ニュージーランドに移住してしまった。

だから、この法則が正しいことは断言できる。

〈コロマンデルでは、こんな磯から大きなヒラマサが釣れてしまう〉

多くのニュージーランド人と釣り人、そしてぼくが愛してやまない場所、そして一度行けば一生の思い出になること間違いなしの、コロマンデル。

ここは、ぼくと妻が「また、あそこに行きたいね」と、会話で必ず出てくる場所でもあるのだ。




コロマンデルとは


コロマンデルは地図で見ると、ニュージーランド最大都市オークランドのすぐ右側にある。おそらくこの国でもっとも大きなハウラキ湾に、上(北)へ向かって突き出した半島だ。

だが、一見「オークランドのすぐ横」にあるとはいえ、ここに行くのは簡単じゃない。

飛行機や列車といった交通機関がなく、オークランド市内から長距離バスはあるが便数は1日1〜2本と少なく、ぐるっとU字に回って行くしかないため3.5〜4時間近くもかかる。

海路を見てもオークランドから直行船はなく、ワイヘキ島経由となるためとても時間がかかるし、現地に着いてからは車がないと動きがとれない。

ここを訪れるベストな方法は、オークランド空港でレンタカーを借りて向かうことだ。

空港からだと2時間ほどで行けるが、道が途中からS字カーブが続くため、車酔いする人にとっては悪夢となるので注意が必要となる。そして言うまでもなく、運転も簡単じゃない。

そして、一度コロマンデルまで来てしまうと「ついでに寄れる観光地」が他にない。それだけに、海外からの旅行客が訪れるには勇気が必要となる。

そう、まさに「近くて遠い秘境」なのである。



だが、ここの海の美しさは圧巻だ。

理由はシンプル、「住民が少ない」「深い森がたくさん残っている」からである。世界65ヵ国を旅し、多くの大自然を見てきてが、波打ち際ギリギリまで森が迫るような、原始の自然が残る海はそうそう出会えない。

半島の約3割が森林保護区に指定され、この国随一と言われる美麗なビーチが多数あり、保養地として高い人気を誇る。

ハイキング、シュノーケリング、ダイビング、フィッシング、サーフィン、キャンプが楽しめることもあり、アウトドア好きにとっては天国だ。



名もなき?小さなビーチが多数あり


この半島に無数にある小さなビーチに足を運べば、後方には手付かずの森と岸壁がそびえ、目の前にはエメラルド色をした透明な海と、眼に映るすべてがネイチャーとなる。

人工物ゼロで自然だけに360°囲まれていると、言葉にできないほど穏やかな幸福感をもたらしてくれるからいい。

マイナーなビーチが魅力的なのは、真夏の2月でも、かなりの確率で誰もいない貸切状態になれること。

コロマンデルにはいくつかの人気の街があるので、それぞれの滞在先で地元の人に「この近くで一番綺麗なビーチはどこ?」と訪ねてみよう。

そうすれば、名もなき、自分だけのお気に入りのビーチを教えてくれるだろう。



アモデオ湾沿いの、ぼくがもっとも好きなキャンプ場「Angler’s Lodge」近くのビーチはまるでプライベートビーチのよう(2021年にオーナーが変わりネーミング含め大幅に変わったらしい)。

ぼーっとするのに最適だ。

木陰でピクニックするのもいいだろう。



Angler’s Lodge
「釣り人(Angler)の宿!」という名前だけあって、夜は釣り人同士で「何釣れたの?」と釣果を聞き合って盛り上がる。

共有スペースのキッチンへ行けば、それぞれが、腕をふるって釣りたての魚を調理しているので、運が良ければ、おすそ分けをもらえるかもしれない^^

ここに惚れ込んだ北欧からの移民一家が経営していて、トイレ、シャワー、宿泊施設、スパ、プール、カフェも清潔で、センスがいいので、釣り人でなくてももちろん楽しめる。

テントサイト、キャンピングカーサイト、ベッドのみの格安ロッジ、トイレ&シャワー付きロッジ、とお好みと予算に合わせて泊まり方を選べるのがいい。

これは、ニュージーランドのキャンプ場スタイル。居心地の良いステイ先なので、コロマンデルに行く際はぜひ。
https://www.anglers.co.nz

ここからすぐのところにあるカフェ「Hereford 'n' A Pickle」も居心地よく、コーヒーも食事も上質でおススメ。



コロマンデルの大自然をお土産に


イチオシは、20年以上続く老舗オーガニックブランドのティーツリーオイルだ。
ニュージーランドのティーツリーと言えば、ハチミツで有名なマヌカと、その姉妹的な存在カヌカ。

これらは油分が少ないことから、精油を作るのが難しいとされるので非常に希少。しかも、手付かずの自然環境で手収穫し蒸留しているのだからその質の高さは説明不要だろう。

ちなみにティーツリーオイルの効能は、抗ウイルス、抗菌、殺菌、消毒など。
https://www.teatreeoil.co.nz

この秘境の魅力を語りはじめたら、それこそもう1冊必要なくらいになってしまうので、このあたりで筆を置きたいと思うが、リレー記事最後となるこの原稿のラストは、一緒にガイドブックを作った共著者たちからのコメントで締めくくりたい。

▽野澤哲夫率いる「NZdaisuki.com」スタッフより
https://nzdaisuki.com
https://www.facebook.com/daisukinz

コロマンデル方面の思い出は、私はキャンプに行った思い出です。

コロマンデル方面にはキャンプサイトも多く、ニュージーランドの絶景を満喫することができます。

携帯の電波が入らないところだったので、連絡を気にする必要がないため、日々毎日持ち歩いている携帯もここでは用無しでした。

午前中はサーフィンやブッシュウォークを楽しみ、夜はたき火をしながらのバーベキュー。

火が消えないように、明るいうちから仲間と一緒に枯れ木を集めるのも楽しみの一つです。

キャンプの良さは自然に生かされていることに改めて気が付き、自然に対して心から感謝することができます。

キャンプサイト付近に小さなバーのような場所があり、キャンパー達の憩いの場のようになっていました。

この夕焼けを見ながら旅人たちと過ごす夜は最高でした。

見渡す限りの壮大な山や海を見ていると、自分の小ささや悩みなどが吹き飛び、世界の中でこんなに美しい自然が残っていたんだなと思います。

虫の音を聞きながら満点な星空のもと眠りにつき、鳥のさえずりで起きる贅沢な朝。

ニュージーランドのキャンプが大好きです(^^)



 ▽「日刊ニュージーランドライフ」主宰 長田雅史より
https://nzlife.net
https://twitter.com/masaosada

コロマンデルの思い出といえば、Cathedral CoveやHot Water Beachなども行きましたが、僕が一番印象深く、また読者の方にオススメしたいのはWhitiangaのボーンカービングです。

僕が参加したのはボーン(Bone 牛の骨)を自ら削って最終的にマオリデザインのペンダントヘッドを作るコース。

まずは一つ一つ色味や模様が違う骨の中から1つ選び、続いてひとつひとつに意味があるマオリの伝統的なデザインの中から、骨の模様を活かせて、自分の気持ちに合うデザインを決めます。

最終的には専用ツールで削ったり、磨いたりして2時間ほど完成です。

作ること自体が良い経験になり、さらに良いお土産にもなるのでお勧めです。

▽ニュージーランド写真家トミマツタクヤより
https://tky15lenz.com
https://www.instagram.com/tky15_lenz/

ぼくがコロマンデルで最も印象的だったのは、ナルニア国物語の舞台にもなった「カセドラル・コーブ」。

長い年月の浸食によって形成された光景は、自然が生み出した芸術作品。

かなりの人気スポットなのでいつも人で溢れているが、お勧めは日の出の時間帯。

朝日に照らされる幻想的な〝洞窟″を独り占めできます。

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共著者に名は連ねないが、実質は「第5の著者」として執筆サポートをしてくれた妻のコメントもここで紹介したい。

彼女は事前の情報収集や、取材後の情報整理で大きく貢献し、長期にわたったガイドブック取材ロケに同行してくれた。改めてここで謝辞を送りたい。

なにを隠そう、このコロマンデルをこよなく愛し、もっとも推していたのは彼女だった。



▽コロマンデルの思い出
2年前の2月、夫が沖へ釣りに行っている間、1日ノープランで過ごした。

アングラーズロッジの人に、プライベートビーチのような誰もいないWaititiビーチをお勧めしてもらった。

留守番をしていた私は、お気に入りの発酵ドリンクKombucha(NZではあちこちに売っている)と読みかけの本を持参して向かう。

裸足になって、長い間足を海につけていた。
聞こえるのは波の音だけ、目に映るのは波と空と砂浜だけ。

心地良さとともに、悩みがどんどんリリースされていくのを感じた。と同時に、これまで目を背けていた、バラバラだった気持ちや記憶の欠片が、点と点を結んでいくような感覚になる。

その時の私には自分の頭の半分以上を占めていただろう、長く抱えていた迷いがあった。

人は、心のこもった言葉をかけられても、ぎゅっと抱きしめられても、なかなか前に進めないときがある。

だけれど、ひとたび大自然に触れると、圧倒的なパワーに抱かれて、それまでのことが一瞬で吹き飛ぶことがある。

いつも無言の大自然はときにこんなギフトをくれる。

なんとも言えないこの感じ、文章で伝えるのはなかなか難しいけれど、私にとって、コロマンデルは、覚悟をくれた場所。

優しく母性的で、静かな自然を求めるならぜひ足を運んでみては。

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(Photo by Takuya Tomimatsu)

きっとあなたにも、「本当は誰にも教えたくない場所」があるだろう。

そう思う反面、「この特別な場所を独り占めするのはもったいない。こういう場所こそ多くの人と共有したい」という想いを誰もが抱くはず。

人間の感情というのは、いつでも割り切れないものなのである。

LOVELY GREEN NEW ZEALAND 未来の国を旅するガイドブック』の構想は、そんなぼくの矛盾した気持ちからはじまった。

でも、こんなにも素晴らしい国を、ぼくひとりの手では紹介し切れないと判断し、約1年がかりで、ぼくの周りの「ニュージーランド達人たち」に声をかけ、最終的に3名の仲間たちが集結してくれた。

愛する、野澤テリーさん!長田まさくん!トミー!

みなさんの優しさと緻密な仕事ぶり、豊富な情報量と熱いニュージーランド愛がなければ、この本は存在していませんでした。

ぼくのわがままに付き合ってくれて、一緒にこの本を作ってくれて本当にありがとう!!

そして、ぼくのウザいくらいのこだわりに最後まで応えてくれた、デキるフリー編集者!伊澤慶一くん!
あなたがいなかったら、この本が完成することはなかったでしょう。

そして、こんなマニアックな本を全国流通に乗せていただいた「ダイヤモンド・ビッグ社」の宮田さんと営業のみなさん!
あなたたちが手を挙げてくれなかったら、これほど多くの人に届くこともなかったでしょう。

改めて感謝の気持ちを伝えさせてください。ありがとうございました!!!

さらに忘れてはいけない同志たちがいる。

クラウドファンディングで支援してくださった方々と、SNSやブログ、メディアで紹介してくださった人たちだ。

この本が誕生し、日本中に広がっているのは、ここに書かせていただいた皆さま一人一人のおかげです。

ここで感謝の気持ちを伝えさせてください!

ありがとうございます!!!!!!!!!



(Photo by Takuya Tomimatsu)

うれしいことに、たくさんの旅人たちがガイドブックを片手にニュージーランドを訪れてくれている。

各方面からそういう報告を受けるし、ぼく自身もその様子をいつもInstagramで見させてもらっている。ハッシュタグ「#LovelyGreenNewZealand」を付けてくれている投稿を見つけ次第「いいね!」させていただき、時にコメントさせていただいている( •̀ .̫ •́ )✧

さらに、ここニュージーランドでガイドブックを持つ旅人と遭遇する機会も増えた。

今日時点(2020/04/02現在)で、これまでおそらく50名近くの方に「ガイドブック持って来ました!」と街角で、お店で、声をかけていただいた。

相当な時間と労力をかけ、語り尽くせないほどの想いをもって作った本だけに、SNSやブログで発信していただいたり、直接お会いできるほどうれしいことはない。

さあ、次は『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』というウェブメディアを立ち上げたり、『LOVELY GREEN NEW ZEALANDツアー』なるものを実施したり、はたまた『LOVELY GREEN NEW ZEALAND英語版』を作るといった構想もある。

そんなネクストステップを踏み出すときには、必ず報告させていただくので、首をながーーくお待ちいただけたら幸いだ。

それまでは、ガイドブック公式Instagramアカウント(@lovely_nz)や、ぼくら著者の各SNSをフォローして情報をキャッチアップしておいていただきたい。

そして、この記事の下に、これまでのリレー記事すべてのリンクを貼っておくので、ニュージーランドのレアな情報をもっと知りたい!という方はぜひご一読を。かなり濃度の高い記事ぞろいなので!

さて、ガイドブックでも書いたように、ニュージーランドは、ただ楽しいだけ、美しいだけの国じゃない。
「あなたの人生を変えうる国」である。

現地でぼくを見かけたら遠慮なく、声をかけていただきたい。

では、ニュージーランドで待ってまーーーーーす!!!!

ニュージーランド湖畔の森より
四角大輔
instagram.com/4dsk.co
twitter.com/4dsk

(Photo by Takuya Tomimatsu)

僕が住む街で一番オススメの場所はココ


僕の住む街ウェリントンで一番オススメの場所はココ(長田雅史)
ぼくが住むエリアで一番オススメの場所はココ(四角大輔)
僕の住む街・オークランドで一番オススメの場所はココ!(野澤哲夫)
ぼくが住みたいエリアで一番オススメの場所はココ(富松卓哉)



本当はガイドブックに載せたかったスポット


ウェリントンのビール(長田雅史)
オークランドのオーガニックカフェ(野澤哲夫)
小さくてラブリーなビーチタウン(四角大輔)
絶景&フェスティバル&カフェ(富松卓哉)



ガイドブックでもっと紹介したかった場所


「ニュージーランドのカフェ文化」の基礎知識(長田雅史)
ニュージーランドのファーマーズマーケット(野澤哲夫)
NZの秘境『Hopewell Lodge』(富松卓哉)
④誰にも教えたくない〝近くて遠い〟秘境がある(四角大輔)


クラウドファンディングで300%を達成し、360万円を超える支援金をいただいて完成した『LOVELY GREEN NEW ZEALAND 未来の国を旅するガイドブック』は、日本ならAmazonや各書店で購入可能。

ニュージーランド国内ならNZdaisuki.com社にてお買い求めいただけます。