環境問題のことを考えた時にまず頭に浮かんだのは、プラスチック問題のことだった。

僕たちの生活には、もはやプラスチックが欠かせない。
軽くて丈夫、加工がしやすくて低価格なプラスチックは、戦後爆発的に需要が増え、人々の生活の中に溶け込んでいった。

そんなプラスチックが今、適切に処理されなかったことで、大気や土壌、海洋を汚染し問題となっている。

例えば、海に流れ出たプラスチックは、自然環境下で分解されることはない。
それどころか、海水に含まれる汚染物質を吸収しながら、波や紫外線によってマイクロプラスチック(5mm以下のプラスチック片のこと。50円玉の穴の直径が4mmだから、そのくらいの大きさ)となる。

これを小さな魚が食べ、その小魚を大きな魚が食べ、その魚を動物や鳥が食べ、最後は人間が狩猟して食べる。
その過程で、外界から取り込んだ物質をより高い濃度で体内に溜め込む、生物濃縮という現象が起きる。
有害物質の影響は、食物連鎖の高次に位置する生物ほどより高くなり、時には数千倍から数万倍になるとも言われている。

あの水俣病を引き起こした有機水銀も、河川に流された時はそこまで高濃度ではなかったのかもしれない。
しかし、食物連鎖の末端にいる人間が受ける影響はとても大きなものになる。
こうして、人間が高濃度に汚染されたプラスチックを体内に摂取することで、アトピーや不妊症、その他様々な病気の原因になっているとの説もある。

もしくは、海洋に漂うプラスチックを、生物が餌と勘違いして誤飲することで、生態系に及ぼす危険も懸念されている。

ヨーロッパなどではいち早く脱プラスチックの取り組みが盛んになり、日本でも小売店でのプラスチック袋が有料になったりと、プラスチックの使用を削減する取り組みが進んでいるが、いかんせん、身の回りにはプラスチック製品が多すぎる。



そこで、まずは毎日使うものの「脱プラ」にトライしてみようと思った。

朝起きてまず手にするプラスチック製品と言えば、歯ブラシだ。

一般的な歯ブラシは、柄の部分がプラスチック、ブラシ部分はナイロンやPBTなどのプラスチックという、全身プラスチック製品だ。

1年間に世界で廃棄されるプラスチック製歯ブラシは、36億本と言われている。
そのうち、日本人が廃棄するプラスチック製歯ブラシは4.5億本と言われ、その10分の1を占めている。(※)

探してみると、柄の部分が竹や木材のものはすぐに見つかったが、ブラシの部分が非プラスチックのものがなかなか見つからない。
エシカルやオーガニックを専門とするメディアやブログを見ても、完全にプラスチックフリーのブラシはなかなか無く、海外でも珍しいということが分かった。
それだけ、プラスチックがブラシに適しているということだろう。



そんな時に見つけたのが、Nhes.(ナエス)の「turalist(チュラリスト)」という歯ブラシだった。

柄の部分が天然木、ブラシ部分が天然毛で作られ、えごま油で表面を仕上げている。
しかも、柄の部分は家具職人が椅子を作る際に出るブナの木の端材を使用、ブラシは主に食用として育てられた馬や豚の毛を副産物として活用するという、リサイクル製品だ。

ブラシのサイズは日本人に合わせた小さめで、毛の先端を斜めにカットすることで、口の奥まで届きやすい設計になっている。
化学製品を使うことなく、完全にオーガニックな歯ブラシだ。

初めて使用した感じは、本当になにも感じなかった。
つまり、これまで使っていた歯ブラシから何の違和感もなく移行できた。
むしろ、木とえごま油の香りがほんのりと香り、磨いていて気持ちいい。

使用し始めて1ヶ月経つが、抜ける毛の量はごく僅かで、ブラシの先が広がることもない。
(僕は結構強く磨いてしまうクセがあるので、すぐにブラシ先が削れ、広がってしまう。それが解消できたのはとても嬉しい)
また、木製なので水によるカビの発生が心配だったが、使用後に全体をタオルで軽く拭き取ることで、その点にかんしては今のところまったく問題ない。



実は、先月開催されたロハスフェスタに、ナエスが出店するということで、見に行ってきた。
ブースに立つオーナーの村中さんから、チュラリストのこだわりなどを聞くことができた。

村中さん自身、プラスチック製品を取り扱う会社で働いており、年々高まる環境問題に対する意識と自分の仕事との葛藤が、歯ブラシを作るきっかけになったという。
日本・海外を問わず、ありとあらゆる非プラスチックの歯ブラシを取り寄せたが、納得できるものがなく、自分で開発するのを決めたとのことだった。

2018年に構想がはじまった歯ブラシは、コロナをはじめとする障害によって、何度も暗礁に乗り上げる。
しかし、村中さんの使命感・熱意と周囲の人たちの協力と確かな技術が、完全プラスチックフリー歯ブラシ「チュラリスト」を完成させた。

詳しくは、以下のサイトに村中さんの想いが掲載されているので参照してほしい。
https://www.makuake.com/project/nhes/

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Nhes.(ナエス)オーナーの村中さん

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朝起きてまず手にするモノが、自分で選び、かつ自然を感じられて環境にやさしいとなれば、自然とその日が良い一日になるような気がしてくる。

人間は身体だけでできないことを実現するために、頭を使い、様々な道具を発明してきた。
道具は単なるモノではなく、僕たちの生活を豊かにしてくれ、時に人生を切り開いてくれることさえある。
だから、当たり前に使うものほど、こだわりを持って選ぶべきだと感じる。

環境問題はもちろんだが、自分に対して責任と自信を持つために、道具を選ぶ。
まるで理想のスポーツチームやバンドのメンバーを厳選するように。
ナエスの歯ブラシ「チュラリスト」はその心強いメンバーの一員となってくれる気がしている。

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牛本革の端材で作った歯ブラシキャップやモルタル製の歯ブラシスタンドなどのアクセサリーも製作・販売している



ナエスの歯ブラシ「turalist」の詳細はこちらから
https://nhes8739.base.shop

ナエスのインスタグラム
https://www.instagram.com/nhes.jp_/


※出典
https://www.dent-kng.or.jp/colum/basic/3633/