永住権を握りしめ、夢のニュージーランドの大地へ降り立ったのは、2010年1月のこと。
当時、レコード会社でプロデューサーとして働いていたぼくは、2009年大晦日の、当時担当していた絢香の活動休止前最後の仕事「NHK紅白歌合戦」での『みんな空の下』パフォーマンスの現場をもって退職。
わずかその数週間後には、ぼくは真夏のニュージーランドにいた。
「ぼくが、ぼくらしくいられる場所に還ってきた」
そんな感覚に目頭が熱くなった。
〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ〉
New Zealand.
ニュージーランド。
この国のことを知り、移住という夢を抱き始めたのは20年以上も前。
ぼくが大学生の頃だった。
幼い頃からとにかく「水辺」が好き。
小学生の頃から、釣りのために自転車を2時間近く走らせて、山上湖で何時間も没頭したり。
高校では、学校で禁止されているにも関わらず(笑)中古のオフロードバイクを手にいれて、さらに活動範囲は広がった。
大学生になると、ずっと一番の釣り仲間で親友のトシゾーが、突然ニュージーランドへ留学すると言い出した。
ぶっちゃけ「留学」とかいうキャラじゃないトシゾー。
その理由は、「フライフィッシングを学ぶため」だった。さすが(笑)。
フライフィッシングとは、「もっとも洗練された究極の釣り」と呼ばれるもので、大学生の当時ぼくがもっとも熱中していたのがこの釣りだった。
ちなみに、この時点でぼくは、ニュージーランドのことは何も知らなかった。
〈Photo. Shotaro Kato / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉
海を渡った親友トシゾーから頻繁に届く手紙と写真。
そこには、豊かな自然とフライフィッシング天国としての魅力、そして目がさめるほど透明な水をたたえる湖の存在が描かれていた。
「そこに行って、いつか釣りをしてみたい」
いつしか、ぼくの〝夢のホームプレイス〟は、幼少期から憧れていた「北海道」から「ニュージーランド」へと上書きされていた。
〈Photo. Shotaro Kato / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
ナチュラルでクリエイティブな未来の国。
衝動的にニュージーランド移住を思い描き始めたが、インターネットがなかった当時、マイナーなこの国の情報は圧倒的に少なかった。
数少ない雑誌での記事や書籍などを通して情報を入手する努力を何年も続ける。
テレビ欄に「ニュージーランド」と書かれていれば必ず録画した。
調べれば調べるほど、ぼくはこの国に魅了されていった。
「四季がある島国、清潔で平和、羊や大自然」といった一般的なニュージーランドのイメージはもちろんのこと。
そのほかにも、
〝マイノリティに寛容で、自由な社会〟
〝人間的かつ、先進的な制度〟
〝人にも、自然にもやさしい国運営〟
〝グリーンで安全なライフスタイル〟
といった、ぼくを惹きつける魅力で溢れていることを知った。
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
南半球の〝小さな先駆者〟として有名なニュージーランドは、ソーシャル、フード&ドリンク、ITや起業、デザインにおいて、世界の先頭を走る。
赤道を挟んで、日本のちょうど反対側の南半球に浮かぶ、この「ナチュラル&クリエイティブ大国」。
そこには、日本人がまだ誰も知らない世界トップレベルのコンテンツや魅力だけでなく、日本が目指すべき多くのヒントが溢れている。
これは、移住前に15年以上かけ、15回訪れてこの国を研究し、移住してから8年以上経った今、ぼくの目にはハッキリと見えている事実だ。
この記事では、さまざまな「世界初」や「世界ランキング」を参照しながら、ぼくが知っている「未来の国」ニュージーランドを、できる限り多面的に解剖してみたい。
ちなみに、この国の今の首相は、37歳の女性。しかも美人♫
そして、就任後すぐに妊娠を発表し「産休」を宣言。
しかもそのお相手は、テレビの有名人で、「事実婚の彼氏」だ(笑)。
(ちなみに、この国の制度上、事実婚と入籍婚の扱いはまったく同じ)
これも、この国の自由さを象徴する事実の1つだろう^ ^
では、「世界ランキングから見るニュージーランド」いってみよう!!
〈Photo. Takuya Tomimatsu / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
01 HUMAN CREATION
クリエイティブ&ビジネス
ニュージーランド先住民のマオリ族が挨拶で交わす「Kia Ora!」という言葉がある。
この言葉が意味する「Be Healthy & Be Well!」こそが、この国のハッピーでポジティブな風土を物語っている。
街中で目と目が合えば笑顔で挨拶を交わす、そんな「優しい人と人の繋がり」こそが、「人間が、人間らしくられるさまざまな指標」において、この国がいつもトップグループに名を連ねる理由だろう。
また、英語以外に、先住民のマオリ語を公用語とするだけでなく、世界初で「手話をも公用語」にするニュージーランド。
また、かなり先駆けで「同性婚」を合法化するなど、寛容で自由、リベラルで先進的な政治と社会は、人々のクリエイティビティを解放している。
そして、新進気鋭の気質からか、発明や特許が多いことでも知られている。
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
起業のしやすさ 1位
参照:doing business 2019
経済的自由度 3位
参照:INDEX OF ECONMIC FREEDOM 2018 | The Heritage Foundation
教育に適した環境 1位
参照:報告書「世界各国の未来に向けた教育」(The Worldwide Educating for the Future Index)
教育に対する支出 1位
参照:Which Countries Invest The most In education
先進国における出生率 5位
参照:世界・女性1人が生涯に産む子供数ランキング(OECD版)
母親への優しさ 6位
参照:Best Countries to Be a Mother
(オマケ→国際競争力 16位
参照:The IMD World Competitiveness Ranking 2017 )
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
02 LIBERAL SOCIETY
フリーダム&ピース
「女性の参政権」を世界で初めて認め(何と120年前で、日本よりも55年も早い1893年=明治26年!)、
「労働者の最低賃金」「8時間労働」「年金制度」を最初に導入した国でもある。
選挙の投票率も「有権者の約8割!」と、国民の政治に対する関心も高く、それに呼応するように政治の透明度も世界トップクラス。
1987年に世界的に先駆けて制定された非核法により、「核を保有しない国」としても有名。
当然、原発はゼロで、アメリカにどれほど圧力をかけられても米軍の原子力空母の寄港を絶対に認めない。
そして、電力再生可能エネルギー率80%という環境立国という顔も持つ。
また、医療費・教育費・出産費ゼロや、手厚い失業保険や年金制度など、北欧のような福祉国家という一面もある。
近年は、エストニアなどが参加する「世界7大電子政府=D7」の創設国としても大きな注目を集め、行政サービス電子化においても世界をリードする(これについては、最後に詳細を書きたいと思う)。
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
必要なときには友人が助けてくれると信じている 1位
参照:THE LITTLE BOOK OF LYKKE
フレンドリーな国 5位
参照:InterNations Expat Insider 2016 Index
幸福度 8位
参照:World Happiness Report 2018(国連)
政治的安定度 3位
参照:The Worldwide Governance Indicators (Political Stability)
汚職の少なさ 1位
参照:Transparency International
政治透明度 8位
参照:GLOBAL OPEN DETA INDEX
報道の自由度 13位
参照:世界報道自由度ランキング
平和度指数 2位
参照:Global Peace Index 2017
民主主義指数 4位
参照:Democracy Index 2017
法が機能している 7位
参照:Rule of Law Index 2017-2018
税金の払いやすさ 9位
参照:Paying Taxes2018
世界男女格差指数 7位
参照:The Global Gender Gap Report 2018
OECD加盟国の男女の賃金格差の少なさ 2位
参照:OECD Employment Outlook 2014
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
03 GREAT OUTDOOR
ライフスタイル&アドベンチャー
大自然との距離が近いこともあり、この国では、アウトドアでナチュラルな日常が当たり前となっている。
本来あるべき自然との向き合い方を取り戻し、本来の自分に還ることができる場所。
国民のほとんどが、キャンプ、ピクニック、サーフィン、トレッキング、フライフィッシング、サイクリング、カヤック、ヨット、パラグライダーといった、野外遊びをあたり前のように楽しむ。
ここはまさに、森里川海すべてが遊び場となった「アウトドア遊園地」である。
また、「ジョギング」「バンジージャンプ」「アドベンチャーレース」発祥の地としても知られ、
マウンテンバイク、ランニングシューズ、ヨットやプレジャーボートの所有率においては、世界トップクラスと言われるニュージーランド。
世界で開催されるトライアスロンやアドベンチャーレースにおいて、いつも上位に顔を出すのがニュージーランド人だ。
何を隠そう、世界最高峰エベレストに初登頂したのもニュージーランド人(エドモンド・ヒラリー)である。
すぐ身近に大自然があり、自然を本気で味わい、自然と共生しながらとことん楽しむその国民性は、世界で他に類を見ない。
これは、50ヶ国近く旅をしてきたぼくが断言できることのひとつだ。
そして、そういった自然と共に生きようとする姿勢こそが、この国を「ライフスタイル大国」にしていると言えるだろう。
〈Photo. Shotaro Kato / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉
退職後の住みやすさ 1位
参照:The Top 5 Best Countries for a Comfortable Retirement
空気の綺麗さ 2位
参照:WHOが発表した「世界でいちばん呼吸したい国」
最も住みやすい都市「オークランド」8位
参照:The Economist Intelligence Unit (EIU)
ひとり旅に最適な国 1位
参照:Best Countries for Solo Travelers
絶対に今年こそ行きたいランキング 3位
参照:絶対に今年こそ行きたい!海外エリアランキング(楽天トラベル)
環境活動指数 17位
参照:Environment Performance Index
自動車普及率 3位
参照:世界の自動車普及率 国別ランキング・推移
航空会社ランキング「ニュージーランド航空」1位
参照:WORLD’S BEST AIRLINES FOR 2018
ベストアドベンチャーカントリー 7位
参照:The best countries to fulfill your wanderlus
睡眠がとれている国1位
参照:The most rested countries surveyed
一人当たりのアイスクリームの消費量 1位(笑)!
参照:Ice Cream Consumption Per Capita Around The World
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
〈Photo. Shotaro Kato / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉
〈番外編〉世界最先端のNZ。
電子政府への挑戦、IT立国、フェアトレード
《世界の7大電子政府「D7」》
ニュージーランドが創設主要国となり、2014年に発足した、相互協力しながら各国の政府のデジタル化の発展促進を目指した「D5」。
当初は、ニュージーランド、英国、エストニア、韓国、イスラエルが名を連ね、今年2018年2月からカナダとウルグアイが加わり、現在「D7」となり、その影響力を強めている。
パスポートの更新や、所得税の申告・支払いなど、政府と国民間で頻繁にやりとりが行われる10の代表的な事務手続きの70%がオンラインで行われている。
そして、向こう数年間でそれはさらに拡充される予定だという。
テクノロジー先進国家として世界を大きく動かす日もそう遠くはないかもしれない。
https://amp.review/2018/03/18/d7/
https://www.digital.govt.nz/digital-government/international-partnerships/d7-group-of-digital-nations/
《Conscious Consumers》
人や動物や環境に配慮し、地球に優しい取り組みを行う企業と消費者を結びつけるサービス。
フェアトレードであること、オーガニック製品であること、過度な包装をしていないこと、労働者の権利を尊重してることなど、いくつもの取り組みからショップやカフェ、レストランなどを選ぶことができる。
街全体で「Plastic Bag Free」、つまりビニール袋を全面禁止にする動きもどんどん加速している。
このウェブサイトでは、現地のカード会社と提携していて、普段の買い物がサステナブルかどうかショッピング履歴で確認できたり、良い消費であればバウチャーが発行され、それらの企業で使うことができるのだ。
https://consciousconsumers.nz
《mevo》
首都で、起業家やアーティストが集まることで有名な街「Wellington」発のサスティナブルなスタートアップ。
街中でチャージができ、アプリで完結するe-car(電気自動車)のシェアリングサービス。
https://mevo.co.nz
《TradeAid》
世界最古クラスの歴史あるフェアトレードショップ。
Christchurchを拠点にニュージーランド各地に点在し、基本、ボランティアによってショップは運営されている。
手作りの竹細工の網カゴや、雑貨、そしてオリジナル商品のコーヒー、石けん、チョコレートなどフェアトレード商品が豊富。
ぼくは、いつもここでオーガニック・ブラウンシュガーとフェアトレード&オーガニック・コーヒーを買う(これが美味しいのだ!)。
https://www.tradeaid.org.nz
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
〝ちょっと行きすぎたニュージーランドマニア(笑)〟のぼくの目からも、このさまざまな世界ランキングは、うまくこの国のことを表していると思う。
しかも、今回改めて調べた中で、また新たな「納得の発見」もあった。。
でも、これはまだまだこの国の一部の側面にすぎない。
ぼく自身が、親友からのメッセージと写真に衝撃を受け、実際に足を運んで、よりこの国の虜になったように、ここには、数字や言葉では伝わり切らないものが存在する。
それは、大地からのわき上がってくるパワーだったり、太陽や風から与えられる目に見えないエネルギーだったり、フレンドリーで優しい人たちからもたらされる癒やしだったり。
もちろん、ニュージーランドだって多くの社会問題を抱えているし、完璧なわけではない。
それでもこの国は、世界の中で圧倒的に「ユニークな存在」として個性を放っている。
そして、常に変化を恐れず挑戦し、つまらない過去に縛られず、いつも未来を向いて一歩づつ前進し続けている。
これを機に、あなたもぜひニュージーランドに足を運んでみていただきたい。
生きる上で「本当に大切なことは何か」を、見つめ直すきっかけを作るために。
「この国は、あなたの人生観を変えるだろう」
これは、ぼくが友人たちにいつも言う言葉。
このメッセージが伝われば幸いだ。
(ニュージーランドで待ってます!)
〈Photo. Takuya Tomimatsu in NZ〉
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