先週は仕事の質を高めるための〝ヨスミ式仕事術〟の最重要項目である、「仕事のベーシックスキルの大切さ」についてお伝えした。
一番伝えたいのは「〝周りからの信頼〟というベースがなければ、人は何も成し遂げることはできない」ということ。
どんな仕事でも「独力」で完結させるのは不可能であることは言うまでもない。
一見、独りで完結しそうな作家業でさえ、編集者やデザイナー、営業や書店員さん、宣伝チームやメディア関係者などを巻き込んでのチームワークが必須。
『超ミニマル主義』『超ミニマル・ライフ』の成果はこのチームワークの勝利だと言い切れる。
さらに、他の類人猿が滅びるのを横目に、我々ホモサピエンスが生き残った最大の理由が「大人数で協力することで生き残る能力」にあったことを忘れてはいけない。
これらの点を押さえた上で〈ワークスタイル・デザイン〉最終週は、これからの社会と働き方についてみんなと一緒に考えていきたい。
もはや古典的な名著ともいえる、ダニエル・ピンク著・大前研一訳の『ハイ・コンセプト「新しいこと』を考え出す人の時代』という本を再推薦し、内容を少し紹介しよう。
読んでいない人は、この機会にぜひ。
(ちなみに、ぼくは学生時代から、この本の訳者である大前研一さんを尊敬していて、彼の多数の著書の読み、講演にも行き、彼が国会議員に出馬する時にはボランティアもしたことある。彼の活動は言うまでもなく、ぼくの作家活動に大きな影響を与えてくれている)
この本が出版されたのは15年以上前だが、「(先進国の)過剰な豊かさ」「アジアの台頭」「オートメーション化の進展」が西側諸国の〝左脳主導思考〟の仕事を奪っていくと語っている。
今では「AI(人口知能)」「自動運転」の実用化が次々と進行。書籍で紹介されている未来予測が、現実になっているからすごい。
AIが人間の知能を越えるタイミング「シンギュラリティ(技術的特異点)」は、2045年に訪れると言われていたが、最近では「さらに早まる」とされ、もう目前に迫っている。
「シンギュラリティ」を迎えたとき、世界は、人類はいったいどうなるのか?
どんな社会になり、ぼくらが生きていくためには何が必要になるのだろうか?
【〝共生・共創〟から仕事を考える】
ただ、「シンギュラリティ」は、とても西洋的な思想と捉えることができる。
ご存知の通り、ハリウッド映画や欧米のSF小説は、「人間 vs ロボット」という構図で描かれていることが多い。
西洋では、キリスト教を中心とする「一神教」が主流で、「善 vs 悪」という考え方を好む人が、大半を占めるからだと言われている。
一方の日本では、「八百万の神」という、「ひとつの絶対神など存在せず、地上すべての生き物(命)は平等」というアミニズム思想が根付いているためか、ロボットは絶対的な唯一の存在でも、敵でもなく、身近にいる「親近感を感じる存在」というイメージが強い。
『ドラえもん』や『鉄腕アトム』といったロボット漫画の古典に始まり、HONDAやSONYが先陣を切って、親しみを感じるロボットを開発したように。
このように、日本では人間とロボットが補完し合って共存する世界観が受け入れられているように感じるのは、ぼくだけだろうか。
シンギュラリティを迎えるこれからの時代は、この〝日本の強み〟にこそ「生き方のヒント」が詰め込まれているかもしれない。
インターネットがコンピュータやスマートフォンだけでなく、車や家電などさまざまな機器とつながり、ネットワークを形成することはもはや疑う余地はない。
実際に「IoT(=Internet of Things)」(=ネットとモノが接続される環境)が、あっという間に普及してきた。
ネット上のAIが多種多様な電子機器をコントロールし、驚くほど便利に、自主的に動く日は、もう目の前まで来ていると言える。
・「グローバル」なだけじゃない「ボーダレス」な競争
・「物質的な豊かさ」の限界と「精神的な豊かさ」の追求
・「AIやロボット」と「人類」の共存・共生
確実にそんな時代を迎え、もう人間はテクノロジーの進化には抗えない。
これは、近代から現代に至る前の歴史見ると明らかだ。
産業革命のときには機械の打ち壊し運動が勃発。
昨今では、世界中でGAFAを規制する動きがある。
時代ごとに、人類は新しいテクノロジーへそれなりに抵抗してきた事実があるが、結果はご存知の通りだ。
「テクノロジーの進化を、称賛せず肯定しすぎず、拒絶せず否定しすぎず。ただただ冷静に受け止め、あくまでニュートラルな視点で、その正しい使い方を考え抜く」
もはや、こう捉えるしかないと思っている。
テクノロジーの進化を人生の味方につけられるか否か。
それは、「あなたの考え方と行動」次第というのが、ぼくの考え。
ただし、人間による管理が100%不可能で、使用済み核燃料の処理法が見つかっておらず、人類を破滅させ、地球の生態系を大きく破壊するリスクがあると、ハッキリ答えが出ている核開発(兵器利用だけでなく、原発などの平和利用も)といった危険すぎるテクノロジーには、慎重な姿勢を忘れてはいけない。
ブーマー世代(社会の上層部)は、「男性(オッサン)」中心で、彼らは激しい上昇志向や成長主義を持つため、これまでさまざまな民族や生物を絶滅に追いやり、地球環境や人間の健康を壊し続けてきた。
これは、昔の日本の庶民が「足るを知る」「身の丈を知る」という哲学をもって節度を持って物事の限度を超えないように生きていたのとは正反対。