今月のテーマ《マインドフルネスデザイン〜Tune Into Mindfulness》は、執着を手放して精神的に自由になるための流儀であり、幸せに生きるための基本哲学
そして、ぼくらがより人間らしく、自分らしく生きるための技法でもある。

その締めくくりとして、今週は人が生きる上で最も重要な命題
「幸福」について、改めて考えていこう。

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【今週の先出しハイライト】

・「ドーパミン中毒=欲望の無間地獄」を抜け出した後、人生をかけていいと思える「崇高な目的」だけが、命ある限り続く真の幸福をもたらす
・インナーネイチャーとつながった「動的メディテーション状態」では、枯れることのない泉から高いクリエイティビティが湧き出し「アーティスト状態」を長期間継続できる
・あなたが見る世界は「内面の湖面を映す鏡」であり、凪のような心でマインドフルネスに生きることが、無数の社会問題を解決していく理想のソーシャル・デザインとなる

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●「幸せ」とは?

あなたにとって、「幸福」とは何だろうか?
どんな状態だろうか?

伝説の起業家、
トニー・シェイの名著『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』(ダイヤモンド社)の中で、幸福感を「①快楽」「②情熱」「③崇高な目的」の3タイプに分類している。

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①「快楽」

これはあなたの内側にある「心」から生み出されるものではなく、「外部」から脳に与えられた刺激によるもの。

この「ニセの幸福感」が満たされることは永遠にない。

何かを得ても、すぐに次の「何か」を欲し、虚しい高揚感を無限に求め続けるようになる。

ぼくの言葉でいうと、「
もっと、もっと...もっともっともっと.......」という〝ドーパミン中毒=欲望の無間(むげん)地獄〟に墜ち、抜け出せなくなってしまう状況だ。

「快楽」は、3つの幸福感の中で、最も長続きしない。

②「情熱」

これは、「フロー状態」とも呼ばれる「高い集中力を保ちながら何かに夢中になっている状態」を手にするための原動力となる、とても大切なもの。

ここで、よく似た言葉である「フロー」と「ゾーン」の違いを簡単に説明しておこう。

フローは、一心不乱に何かに没頭しているうちに、あっという間に時間が経っている、というような「ある一定期間」の状態を指す。

ゾーンも同じく、夢中になって何かに没頭している状態だが、その中でも極限レベルの高次元の集中力が発揮される「一瞬」を指す(ピークパフォーマンスと呼ぶこともある)。
つまり、
「フローの中に瞬間的なゾーン(ピークパフォーマンス)が存在する」ということ。

「情熱」は、3つの幸福感の中で、2番目に長続きする。

③「崇高な目的」

この「崇高な目的」とは、人間にとって最も美しい概念の一つだとぼくは考えている。
個人にとっての「崇高な目的」とは、「生まれた意味/生きる意味」のようなもの。心理学で「Deep Needs(真の望み)」と呼ばれるものと、強くつながっているベキだと思っている。
ぼくの言葉で言うと、
「心の声=心のど真ん中が求めること」であり、同時に自身のルーツとしっかりつながっているものだ。

これは当然、自身の内側にある「インナーネイチャー」からふつふつと沸いてくること、当然これは、〈LifestyleDesign.Camp〉用語でいうところの
「人生のビジョン」や「ライフテーマ」とイコールでないといけない。そして、「義務感」や「使命感」といった背負ったものではなく、「心からやりたい」と無限に湧いてくる泉のようなものであるべきだ。


▼「人生のビジョン/ライフテーマ」を見つけるメソッド&ワーク「Design Your Vision」はこちら(以下はその①で、①〜④をあらためて読み返してほしい)




それは同時に、地球という「グレートネイチャー」の循環の中にあって、環境を破壊せず、意味もなく他者や他の生物を傷つけないものであるべき。
会社やプロジェクト、コミュニティや家族など、人数の多い少ないに関係なく、「崇高な目的」を共有すべきだ。いや、それができければ「なにも成し遂げられない」と断言してもいい。
そして、個人の「崇高な目的」を、パートナー、家族、仲間、チーム、組織、社会に共有できた瞬間、それは「グレートビジョン」となり、世界を変えうるインパクトになる、というのがぼくの考え。

「宇宙に衝撃を与える=世界を変える」と言い続けたスティーブ・ジョブズも、Apple Inc.という会社の社員とともに、その偉大なミッションを共有した。そして、間違いなくApple Inc.は世界を変えてきた。

ちなみに、
スティーブ・ジョブズにとってのApple Inc.は、ぼくにとってはここ〈LifestyleDesign.Camp〉
ぼくが達成したいと思う、自分なりの「グレートビジョン」の断片を、日々ここでみなさんとシェアしながら、一歩一歩、前進しているつもりだ。

もはや説明不要だが、この「崇高な目的」は、3つの幸福感の中で最も長続きする。というか命ある限り続くと言っていいだろう。

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 < Photo by HIROYUKI Usami >

●「崇高な目的」の幸福感とは?

自身の「インナーネイチャー」とつながり「崇高な目的」を得た状態は、「グレートネイチャー」とつながり、自分が自然の一部であると本当の意味で理解したときの、あの圧倒的な安心感に近いとぼくは思っている。

「フロー」や「ゾーン」を超えた、自身が心から納得していて、しっかり腑に落ちた感覚を手にしている状態だ。

夢中だけど、ハイテンションや過度な興奮状態ではなく、自分らしく、静かなペースで何かに集中している、まるで瞑想しながら動いている、まさに「動的メディテーション」のような状態
もちろん、疲れ果てていたり、やる気がなかったりする状態とも全く違う。

これこそ、
「マインドフルネスに生きている=生き方そのものが瞑想的」と言えるだろう。

このモードにいると、人はアイデアが次々と沸いてきたり、次々と明確な判断力を得られたりなど、
驚くほど高いクリエイティビティを手にすることができる