● 人生を左右する最大の要因——人間関係
ハーバード大学の成人発達研究所が、700人以上を75年にわたって追跡調査した結果、こんな結論に至った。
人生を幸せにするのは——お金でも名声でもなく——人間関係であると(*1)。
しかし、現代人が抱える悩みの大半は、人と人の間に生まれる。
上司、先輩、同僚、後輩。取引先のあの人、この人。友人、家族、そして恋人……。
「人間関係ノイズ」は、ぼくたちのまわりにあふれ、人生を狂わせる最大の元凶にもなり得る。それだけに、自分らしい人生をデザインする上でとても重要だ。
● 日本特有の「人間関係ノイズ」という病
残念ながら日本は、世界的に見ても、「助言ノイズ」が異常なほど多い国だ。
村社会や島国カルチャーと言われる、昔ながらの「他人への過干渉」という文化的な背景がその原因の1つだろう。
中でも深刻なのが「上下関係ノイズ」。ぼくが世界一キライなノイズだ。
「親から子への過干渉」「上司から部下への過干渉」「先輩から後輩への過干渉」——年功序列文化がマイナスに作用し、年上というだけで無条件に意見を押しつける風潮にあふれている。
そして上下関係だけじゃない、「パートナーからの過干渉」「友だちからの過干渉」「同僚・クラスメート・ご近所さんからの過干渉」と、フラットなはずの関係にも「過干渉ノイズ」が多く発生する。
さらに、LINEなどのSNSの発達によって、これらの「人間関係ノイズ」はさらに拡大。
小さい頃に刷り込まれた不要な習慣、
学校で教え込まれた余計な価値観、
「絶対だから」と押しつけられた過剰なルール、
無自覚に侵入してくる他人のどうでもいい意見……。
あなたがこれまで〝アタリマエ〟や〝ジョーシキ〟だと思い込んできたことの多くは、無数の「人」から得た情報でできている。
人とのつながりは「人生の宝」だと言い切れる。
「チャンスは常に、人からもたらされる」と言ってもいいだろう。
しかし、油断するとその「宝」が「毒」へと変わってしまう。
では、どうすれば「人間関係ノイズ」を解消し、本当に価値のある人間関係だけを残すことができるのか?
そこで今週は、【人間関係ノイズ解消の5つのヒント】を紹介しよう。
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【今週の先出しハイライト】
・人間関係は人生最大の宝であり毒にもなり得る——だからこそ、自分らしい生き方を守るために“ノイズ”を見極めて減らすことが不可欠だ。
・身近な人があなたを愛し、理解しようと努力しているかを見極め、ニセプロデューサーとは距離を置き、本当に信頼できる人からのみヒントを得よう。
・全員に好かれようとするほど自分らしさは失われる——人間関係に徹底的なメリハリをつけ、本当に必要な人との時間を優先せよ。
・SNSやLINEの通知を断食し、浮かび上がる「心の声」で大切な人を選び直すことで、つながりを根本からリセットできる。
・所属コミュニティを棚卸しし、「本来の自分」でいられる場所だけを残すことが、人生を自分の意思でデザインする第一歩だ。
・未完了の人間関係を一つずつ完了させ、しこりやモヤモヤを手放すことで、人生はいつでもリセットでき、転機は自らつくれる。
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【人間関係ノイズ解消の5つのヒント】
1 身の回りの〝プロデューサー〟を見極める。
あなたの人生に大きな影響を与える人が、次の2つをクリアしているかを見極めよう。
①あなたを愛している
②あなたを認め、理解しようと努力している
①だけでも、②だけでもダメ。両方そろうことが絶対条件だ。
「お前のことを思って言ってるんだ」という言葉とともに、納得できないことを押しつけられた経験は誰もがあるはず。この言葉はとても危険だ。
なぜならこういう言葉を使う人の大半が、
「あなたを愛している」が、「あなたを理解していない」から。
だから、その押しつけはスルーしていい。
たとえそれが、血のつながった肉親であっても。
ぼくは、①②を兼ね備えた人を「リアルプロデューサー」、
①か②のどちらかしかない人のことを「ニセプロデューサー」と呼んでいる。
①も②もない人は一切関わらなくていい。
もし親などの関係性の近い人がそれにあたる場合は、「うまく距離を置く」といい。
ぼくも父親とは30年近く距離を置いていた(数年前に和解)。
(ただ、もし、うまく距離を置く中で、心境が変化してきたならば、最後に伝える「5.人間関係の「未完了」を完了させる」に取り組んでみてほしい。)
ここでもう1つアドバイスを!
できる限り、「自分にとって理想だと感じる生き方・考え方の人」からの助言に耳を傾けるようにしてほしい。
尊敬できない人からのアドバイスは、あなたが「なりたくない人」になる危険をはらんでいる。尊敬できない人とは距離を置く工夫をしよう。
ただし、「たった一人のすべて」を鵜呑み(うのみ)にしてもダメ。
(ここCampで、あやしくw「学長」と名乗っていたことのある四角大輔も、欠点だらけの人間だから、鵜呑みにしてはダメ🙅)
どんな人であろうと、その発言と行動はあくまでも「いいヒント」。
複数の信頼できる人からヒントを集め、「自分にとってしっくりくるものだけ」をピックアップしよう。
「メンターは1人にすべきじゃない、複数持つべし」とぼくが常日頃から言っているのは、「1人を崇拝する=カルト=人生を間違える危険性大⚠️」だと思っているからだ。
2. 〝すべての人〟を大切にしようとしない
人間関係の苦しさの原因の大半が「誰にも嫌われないように」生きる姿勢にある。
そうやって生きていると「本当のあなた」を出せなくなり、何年後かには、あなたは「あなたじゃなくなってしまう」。
すべての人に好かれることは不可能だ。
だからこそ、〝すべての人〟を大切にしようとしないこと。
自著『超ミニマル主義』では繰り返しこう書いた。
「時間の使い方の真髄はメリハリにあり、その強弱の付け方で人生が決まる。」
ここで強調したいのは、人間関係こそがメリハリが大切ということ。
自分のなかで「誰がニガテで、誰が好きか」「誰に会いたくなくて、誰に会いたいか」をはっきりさせよう。