9月からロバート・ハリスさん公式サイトでスタートした会員制ラジオ番組「ラジオ・エグザイルス」に四角大輔が出演し、ロバート・ハリスさん初となる長編小説「JJ 横浜ダイアリーズ」についてお話しました。前半30分の一部を、対談記事としてお届けします!
* * * プロフィール * * *
ロバート・ハリス|Robert Harris
1948年横浜生まれ。作家、ラジオ・ナビゲーター。
1971年上智大学卒業後、東南アジアを放浪し、バリ島に1年、オーストラリアにのべ16年滞在する。シドニーでは、書店&画廊「エグザイルス」を経営した。香港で映画製作にたずさわり帰国、FMラジオ・J-WAVEなどのナビゲーターとして注目され、執筆業でも活躍。著書に『エグザイルス 放浪者たち すべての旅は自分へとつながっている』『ワイルドサイドを歩け』『人生の100のリスト』 『英語なんてこれだけ聴けてこれだけ言えれば世界はどこでも旅できる』などがある。
先月、1964年の横浜を舞台にした、自身初となる長編小説「JJ 横浜ダイアリーズ」が出版された。
ロバート・ハリス(以下、ハリス):今日のRadio Exilesは、僕のよき友で仲間の四角大輔くんが、急遽、来てくれました。ニュージーランドから飛んで来てくれたんだよね?(笑)
四角大輔(以下、四角): はい、飛んできました(笑)。
あの本で、ぼくは人生が正しく狂いはじめた(四角)
大学生の時にロバート・ハリスの著書「ワイルドサイドを歩け」を読んで、とても影響を受けたという四角大輔。
四角:あれはぼくのバイブルで。これはハリスさんを前にしてるから言っているわけじゃなくて、本当に。
今まで「四角さん、おすすめの本を教えてください!」って聞かれた時、何度も何度も紹介してます。
ハリス:本当ですか? じゃあ俺の印税生活に貢献してる(笑)。
四角:あの本で、ぼくは人生が正しく狂いはじめた(笑)。
ハリス:あははは(笑)
最初に原稿を読んだ奥さんの第一声は、"セックスが多い" (ハリス)
四角:これ、初めての長編小説なんですよね? 32万字..! 読むのも大変です(笑)。
ハリス:2年かけて書いて、半年かけて編集して。始めは40万字くらいあったんですよ。そこから削っていった。
四角:削る作業、難しくないですか?
ハリス:難しかった。
四角:編集の方のアドバイスをもとに削っていったんですか?
ハリス:いや、最初は奥さんのアドバイスで。
四角:へー。
ハリス:出来たてのゲラをまず奥さんに見せて、「どう思う?」って。そしたら、「うーーん、SEX(の話)が多いね」って(笑)。
四角:(笑笑)
ぶっちゃけます、まだ多いです(笑)。
ハリス:それで半分以下に減らして。
四角:え、これ半分以下なんですか? じゃもっとあったんだ(笑)。
ハリス:そう(笑)。でも全然よかった、削って。
32万字もあるのに、読んでいてまったく中だるみしなかった(四角)
四角:ぼくは小説もともと大好きで。若い頃、最初ノンフィクションばっかり読んでて、当時映像ジャーナリスト目指してたので。次に実話ベースの小説読むようになって、そっから小説にのめり込んで。
レコード会社入ってからも、常に鞄には小説が入ってる感じで 。それが、思い返すとここ10年くらい、小説を一冊も読んでなかったんですよ。
ハリス:そんなに長いこと読んでなかったんだ。じゃあ久しぶりの小説なんだ?
四角:そうなんです。
ハリス:光栄です。
四角:この小説めちゃくちゃ痺れました。すごい夢中になって。最初から最後まで。
なかなかこの32万字で途中、中だるみしないって難しいと思うんですけど、ぼくまったく(中だるみ)しなかったんですよ、本当に 。
男って、いつまで経っても "男の子" (ハリス)
四角:純愛度合いがすごかったです。
ぼく48歳なんですけど、48歳ってまぁそれなりの経験を経てきてるじゃないですか。それでも純愛スイッチみたいのが残ってて。
男性ってきっとみんなそうですよね?女性よりたぶん。
ハリス:うん、あると思う。いつまで経っても "男の子” なんだよね。
四角:純愛スイッチみたいの、ガンガン押されて。ずっと キュン キュン キュン キュン!!!みたいな(笑)。
ハリス:やっぱり若いときに女の子好きになって、それがままならなかったり、フラれちゃうんじゃないかなって思ったり、またはフられちゃったりしたときの、心のアップ&ダウン。そういうのを書きたかったの。心の機微っていうか。
四角:それ、めっちゃ出てました。
当時の10代が、まだ出たての頃のボブ・ディランのことをどう聴いてたか、すごくリアルに伝わってきた(四角)
四角:ばんばん出てくるじゃないですか。
ハリス:本とか、映画とか、歌とかね。
四角:その当時のカルチャーが。 これ完全にロバート・ハリスの世界ですよね?
ハリス:それはそうです。
やっぱり人間って、見る映画とか読んだ本とか聴いた音楽とかに人格とか在り方を形成されるじゃないですか。
四角:はい。
ハリス:あとはその時起こってる世界の動きとか。
四角:(この本)世界情勢の話とかもすごく入ってきますよね。
ハリス:うん。あとは(1964年)東京オリンピックのわくわく感とかも。
そういう(周辺の話が)まったく入れない小説もあるじゃないですか。
でも俺は入れたい。
そういうの入れて実際の本(とか映画とか)も紹介したいし。
四角:ですよね、そういう思いもありますよね。
ハリス:そう、ありますね。
四角:音楽もめっちゃ出てくるんですよね、アーティストの名前もいっぱい。
ぼくにとってはオールディーズって呼ばれるような時代。1970年生まれなんで。
(※オールディーズ:主に1950年代から1960年代にヒットしたアメリカやイギリスなどの英語圏のポピュラー音楽のこと)
ハリス:完全にもう生まれる前だね、1964年は。でもルーツミュージックだもんね。
四角:そうです、僕がレコード会社時代にプロデュースしたアーティストにとってもルーツミュージックですよ、まさに。
ハリス:ちょうどディランがまだ出たばっかりで。
四角:ボブ・ディラン出てきますよね(作中に)。あの解釈が面白かったです(笑)。
ハリス:JJの仲間たちが「ボブ・ディランってやつ最近出てきたけど、どう解釈する?こいつ歌うまいの?下手じゃん?」みたいな(笑)。
「でも歌詞がいいぜ?」みたいなね。
そういう会話、実際仲間内であったんですよ。
四角:めっちゃリアルだった(笑)。
実際、ああいうボーカルの人って当時いなかったと思うんですよ。
ハリス:うん、いなかった。
だから前は、ハーモニーが綺麗なビーチボーイズとか、ボビー・ダーリンとかそういうあまあま系な声ばっかりで。
(それに対してディランは)「なにこいつ?」みたいな(笑)。
四角:いまはもうディランって、レジェンドで、誰もが知ってて、あらゆる音楽評論家が「ボブディランとは、こうだ、こういう時代を作った、こういう音楽だった」って言ってるけど。
ハリス:そう、もう崇拝してるもんね。
四角:ですよね。
でもあの頃の(まだディランが)どうなるかわからない時代に、当時の10代がボブディランを聴いてこう思ったんだっていうのが、ものすごい、ぐーっと、伝わってきましたよね。
ハリス:そうだよね、リアルタイムで分かるような感じだよね(小説を読むと)。
Photo:Ogino Takuya
Text:Tamura Mayo
※ 上記は対談の部分抜粋です。
フル尺の対談動画は、四角大輔が主宰するオンラインコミュニティ《Lifestyle Design Camp》で配信しています。ご興味のある方はぜひご登録の上、楽しみください!
「JJ 横浜ダイアリーズ」(講談社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4065130239
< あらすじ >
英国と日本のハーフの父と日本人の母を両親に持つクォーターの青年・JJ (ジェイジェイ) 高原は、横浜にあるインターナショナルスクールに通う高校2年生。自分がどれだけ強いのか、女の子の心をつかむにはどうすればいいのか、トライ&エラーの毎日。1964年、JJの身にとんでもない出来事がおとずれる。とびきりの体験やかけがえのない友人やガールフレンドなど、二度と戻らない貴重な青春を味わえるオンリーワン小説。